66: 明日への宣告












散り落ちた花びらが
行き場をなくして地面に這いつくばるように
この恋の行方も行き場をなくし
落ちてゆくのではないだろうか

そう、思うときが、ある。












もぞ、とベッドの中で身じろいだ。
胸の中がざわざわしていて、
これがいわゆる胸騒ぎってやつ。

こんな日はとても居心地が悪い
それがたとえ跡部の横だとしても。





「、なんか、寝れね」

「………」

「なぁ、寝れね」

「不安なら抱いてやる」

「…、」





そんな意地悪な返事は要らないのに
カラダなんて、安易なものが不必要な事
跡部はもう判ってるだろ。




たぶんこんな日はきっと君も
居心地が悪いんだろうね。





「…いらね、そんなん」

「じゃあ、何が要るんだ?」

「…」





少し考えてみる。
でも、満足に返事もできなかった。
どうやら脳は働くことを拒否してる。





(もういいじゃん)

(実際は欲しいものは一つで)

(結局何も手には入らないんだから)





ただこんなにも僕は、こんなにも僕は、

君が愛しいだけ。





「…………、」

「ん?」

「…やっぱ、抱いて」

「…………あぁ」
























ベッドは軋む
歪んだ愛と小さな優しさだけを乗せて


ただ純粋に君が愛しいのに
ただ単純に君が恋しいのに

そばにいる事が
こんなにも辛い





「ぅ、」

「ジロ、大丈夫か」

「ん…、平気、…」





朦朧とする意識の中、こう願う。

【早くこんな行為終わってしまえばいいのに。】

【目を閉じたら覚めなければいいのに。】

【今日が永遠に続けばいいのに。】

【明日が来なければいいのに。】





そう願うのにでも

【君とまたこうして、抱き合いたい。】

【君とまた同じベッドで額をつけて眠り、目覚めたい。】

【君とまた笑って話をしたい。】

【君とまた明日が来るのを待ちたい。】


こう願う。









こんなにも矛盾してる、10月3日。

あと数時間で君はまた一つ年をとる日を迎えるね。


君が生まれた日。

とても幸せな日が近付くのに
それが不幸な事でもあるのは、
お互いもう理解している。





(年をとる毎に、関係の終りを宣告してくるみたいだ)





大人になるともう
こんな風にはいれないよね


抱き合って
キスをして
朝を迎える


なんだか、終りはすぐそこまで忍び寄っている。





「あ、跡部っ、」

「、ん?」

「時間を、…止めて…っ」











誰か

お願いだから時間を止めて。












(ハッピーバースデー、跡部)

(生まれてきてくれて)

(俺と出会って)

(恋に堕ちてくれて)

(ありがとう)

(ありがとう)










終


2007.10.04.
K.Atobe HappyBirthday!!





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