「よ、元気?」
「まぁ、元気」
体調管理、いい加減に出来るようになれよ。
機嫌で体調変化するのは駄目な証拠だぞ。
ほら、もう何もかもどうでも良くなってるだろ。
髪型と服やばいよ、お前ちゃんと飯食った?
逢って即座、慈郎に一気にまくしたてて言うとたいそう嫌そうな顔をした。
いちいちうっせぇよー、とだるそうに言う慈郎は梅雨の猫のよう。
跡部は慈郎の姿をまじまじと見ながら、ふぅ、とようやく一息漏らした。
「もう無理だってーマジマジ無理ー」
「だから、今逢ってんじゃん」
「どんだけ俺のこと放っとくつもりさー」
「だから、今逢ってんじゃん」
約二週間、跡部は慈郎を避け続けてみた。
跡部としては、どこまで互いが依存しているかを確認するための試験のつもりだった。
結果。
跡部は体重2キロ減、慈郎は体重1.4キロ減を記録する。
お互い依存は激しすぎるようだ。
「つか跡部も痩せてんじゃん、体調管理できてねーじゃん」
「あぁ、きつかった」
「俺にだけ言うなんておかしいっ」
「なんかホッとしたら腹減ったな」
「じゃ跡部の奢りな」
「割り勘だ」
「うへぇ」
慈郎がまた嫌そうな顔をしたから、跡部は慈郎の髪の毛をぐしゃぐしゃに撫で回してやった。
ついでに頭を引き寄せて、ぐっと二人は近くなる。
お互いの体温、空気、存在が何よりも栄養。
体調管理の元なのだ。
「なぁ跡部、飯は外でもいいけどやっぱ家でもいんじゃね」
「俺に抱きつきたいのか」
「…………そうだよ悪いかっ!」
「別に。正直でよろしい」
「うぐぐ、…本当腹立つっ!」
二人影を並べて家へと急ぐ。
こんなにも早足で歩いてるのは遅刻しそうな人とサラリーマンと二人ぐらいだ。
わざわざ外で待ち合わせるんじゃなかった、と跡部が溢したのが慈郎に聞こえた。
早く抱き合いたくて触れ合いたくて
焦ったように早歩きする「らしくない跡部」を見て、慈郎は体温が少し上がるのを感じた。
「跡部急ごっ」
「そのつもりだ」
早足で少し汗を浮かせる跡部の横顔を見ながら
慈郎も少し歩く足を早めた。
やはり依存は互いに激しいよう。
終
2007.06.20.
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