49: まどろむ昼下がり















雷ゴロゴロ
じゃなくて、
俺ゴロゴロ

うっへっへっへっへ。



大きな木
芝生の地面
日陰のスポット
俺だけの場所

うっへっへっへっへ。






「うぉい寝てんのか」






転がる頭を叩かれた。
その衝撃は彼が思う以上のものだろう畜生。
いや別に痛くはないんだけど、頭の中は眠気と揺れでぐるんぐるんしてる。
「何しやがんだこんのヤローっ!」て言いたいのに、頭が重いためむにゃむにゃしか言わせてくれない俺の口。





「うぅんムニャムニャ」

「漫画みてぇな寝言だな」

「ばっかおま、俺寝てねぇえぇ」

「いやそれ既に寝てっから寝てっから」





働かない頭で真面目にボケてみる。
あ、ナイスツッコミありがとう。
さあじゃあもう一眠りするかと体勢を変えたら、今度は背中にガツンと一撃食らった。


え、あれ、これ真面目に痛い。
なめてんのか跡部この野郎。
いくら俺が愛してっからってこれは許さねぇぞ。
くそっもう怒ったぞ俺。
どうなっても知らんぞ俺。







「跡部ぇ」

「なんだ」

「肩貸せ、いや貸して下さい」

「あぁ」





重たい体を持ち上げて、背中は木の幹に、ケツは地面に落ち着けて最終的に跡部の肩に頭を預ける。

そのまま少し頭をぐりぐり押し付けて、甘え心をチラチラ見せつける。
どうだまいったか!
俺の愛らしさにぎゃふんて言え!さぁ言え!






「あーあったかい、いい匂い、ふわふわ」

「なんだそれ、微妙に棒読み」

「んー甘えてるんだすよ」

「だすよってお前」

「あーあったかい」






そのまま目を閉じても跡部は文句一つ言わない。
跡部が俺を起こしたのは俺を傍においておくため。
俺に「俺の目の届かねぇ場所に行くな」て暗に言うため。
んもっ跡部ったら本当に独占欲が強いんだからっ。






「うっへっへっへっへ」

「何気持ち悪ぃ笑い方してんだ」

「こーゆーのさ、なんてーのかな?」

「あぁ、きもいって言うんだよ」

「ちょっ違っ、こやって二人でぼんやりする方」

「そっちか。…まどろむって言うんじゃない?」

「じゃあいつまでもまどろんでたい」







跡部の言う「気持ち悪い笑い方」をしながら跡部に甘える。
跡部は文句を言いながらも無理矢理頭を避けたりはしない。
跡部ったら本当に俺にベタボレだね。
全くまいっちゃうぜ。
これがラブラブってやつだねヒューヒュー!






「慈郎」

「…」

「…寝たのか?」

「…」

「慈郎…まどろむってのは、片方が寝ることとは違うぞ」









ちょっと違った。


















終


2007.05.14.





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