「ちょ、」
「なぁにやってんのジロー」
「くすぐってぇよー」
「んー?」
「だーかーらー、くすぐっとぇー」
「ぶはっ、とぇーって、何語だよ」
『今日暇?一緒に遊ぶべ』
て書かれたメールが宍戸から来た。
『ごめん用事あるから無理』
て送ったらまた宍戸から返事がきた。
『そうか。何おまえどっか行くん?』
他に当たらずに何度も俺にメールを返すんだから相当暇なんだな、て悟った。
きっと俺以外の奴にはもうフラれた後に違いない。
『いや、家で昼寝』
『それ用事じゃねぇじゃん』
『俺には大事な用事(笑)』
『俺が暇してんのに…死ね!(笑)』
『o(^-^)o』
『なんでo(^-^)oだけ送んだよ!つかどういう意味か判んねぇし!(笑)』
それからは意味のない軽い文章のやりとりを。
全く会話にはならず、文章だけが宙を舞う。
そうしてたら横からいきなり携帯を取り上げられた。
長い長い指が画面には触れないように携帯を俺の手から奪う。
「ちょ、」
俺がちょっと、と言うよりも早く彼の大きな体は俺の横に居座り、
俺の首元に頭を押し付けてきた。
そのさらさらした茶色の柔らかい髪が首や顔をくすぐり、とてもくすぐったい。
「なぁにやってんのジロー」
「くすぐってぇよー」
「んー?」
聞こえない振りか、判らない振りか、ただ密着していたいからか。
頭を首に押し付けながら彼は疑問符を俺にパスする。
普段からは考えようもない甘えっぷりに、甘やかしすぎたかなぁと思いながら、
彼の望み通りもう一度言ってやる。
勿論、わざわざゆっくりと言うのがコツだ。
「だーかーらー、くすぐっとぇー」
「ぶはっ、とぇーって、何語だよ」
勿論笑いをとることも忘れない。
君と過ごすのに、笑顔は必要不可欠だ。
「なぁ、メール、やめろよ」
「でもぉー」
「やめろ」
「ふぁーい」
ごめんよ宍戸。
俺は君の脳内ではメールしながら寝てしまった、て事でよろしく。
仕方ないじゃない、甘えん坊で独占欲の強い彼が相手じゃ、君に勝ち目はない。
「メール、ちゃんとやめた?」
「やめたやめた」
「よろしい」
「ふぁー」
「俺といるんだ、二人の時間を満喫しろよ」
「そうします」
では、そのまま夢の中へ。
終
2007.02.23.
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