33: 雄が故















「汗臭い青春、いいね」

「何言ってんだお前」

「男くさい俺達、いいね」

「判んねぇなぁ」






君の一言で全てが変わる。
だって男の子だもん。


















腕を見れば筋肉
胸に触れれば胸板
お腹に触れば割れた腹
その下には、まぁっ凶器?



俺達どんなにしたって男の子だね。






「筋肉マン」

「あ?」

「筋肉だるま」

「テメー誰に向かって言ってんだ」

「あとべ」

「じゃあ慈郎は低脂肪分チビだ」

「うん、ちょっとムカツク」






跡部は鼻で笑った。
俺も鼻で笑った。


あぁ、なんで俺達こんなにも男の子なんだろう。


結婚も出来ない。
子供も作れない。
堂々と手を繋ぐことも出来ない。


この愛で生産できるものは悲しみばかりなのではないだろうか。






「子供欲しい」

「んだよ急に」

「子供が欲しい」

「…何人欲しい」

「3人」

「任せろ」

「任せれない」






跡部はきっと恵まれない子供をいただいて、二人で育てようとか思ってる。
二人の子供だよ、てある日突然連れてくる。
性格よし、頭もよし、聞き分けもよしの可愛い可愛い子供。



でもそれじゃ意味がないの。

跡部と俺の血が流れる、一人の人間が欲しいの。


跡部にも判るはずだけど、さぁリアルに考えようか。
それは可能か不可能か。


答えは簡単、不可能なんだ。




ねぇ、世の中は非情だろう?






「俺達が一緒にいることで生まれるものってなーんだ」

「クイズ?」

「ううん、質問」

「慈郎は判らないのか?」

「判るわけないじゃん」

「じゃあ判らせてあげる」






跡部は笑って俺の肩を叩く。
首元を撫でて、そのまま胸に触れる。

あ、ありゃりゃ、これはもしかして?

そのままお腹を撫でてその下へ。

おっとそれは凶器じゃないの!


更に一度腰を撫でて、そのまま手は更に下へ、下腿下肢足、上へのぼって上腕前腕手。



手の甲、平を順に撫でた後、そのままギュッと握られる。


手と手が固く、強く、熱く、結び付く。






「俺達の間に生まれるものは」

「ものは?」

「深い深い、愛だよ」

「、愛」

「あぁ、愛」






跡部は笑顔を絶やさない。

俺の前ではいつも優しくて格好よくて強い跡部。




あぁ、そうだ、本当だ。
跡部の答えは正解だ。


だってこんなにも愛しい。






「…筋肉だるまにしては頭がいいな」

「お誉めに預かり光栄だ、低脂肪分チビ」






逞しい腕はきっと彼を守るため。
逞しい胸板は彼を抱き締め守るため。
割れた腹は、格好いいだろう、自慢のため。
その下の凶器は、やっぱり凶器。

でも全部大切でかけがえがない。



だって俺達は愛し合っているのだから。






「汗臭い青春、いいね」

「何言ってんだお前」

「男くさい俺達、いいね」

「判んねぇなぁ」








すごいね、素晴らしいね

幸も不幸も君しだいの、愛に溢れた俺の世界。





終


2006.11.28





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