07: オーケストラ | |
「もう嫌だ」 「うん」 「もう嫌だ」 「うん、判ってる」 涙を流しながらそう語る。 全てが完璧の彼。 そんな彼は酷く重い鎧を身に纏っていた。 「あの家にはもう帰りたくない」 「うん」 弱々しい声で、語るその筋肉の付いた肩。 きっと僕以外の人間なら、聞き取れないだろう。 「大丈夫だよ」 「………」 「大丈夫だよ、跡部」 だって僕たちは、鎧が無くとも立ち上がれる士族なのだから。 「大丈夫、大丈夫だから」 重すぎるのなら下ろせばいい。 「大丈夫」 だから だからどうか どうかまた強く立ち上がって 誇り高き戦士よ。 終 2006.02.28. |
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