01: 否定的な羅列



未熟だとか未完だとか。 


その否定を掲げるために付け足される文字に 


幾度と無く苦しめられた。 

















「お前はまだまだ未熟な子供だ」 


「そんな非現実的な夢を語ってどうするつもりだ」 


「お前の体はいつ見ても未完成であどけない」 













「なのに何だこの淫猥な体は」 


「こんな所ばっかり発達しやがって」 


「まぁ、そんな風にお前を開発したのは俺だがな」 













全部、捨て去りたい俺の記憶達。 


でも、捨て去ることの出来ない俺の記憶。





記憶を捨て去る事など出来ない。 


一度自分を関して起こった出来事は、必ず消す事など出来ない。 


しかし、人は物事を「忘れる」。 


普段脳の中の格納庫にしまわれている全ての記憶。 


記憶は、それを思い出すためのキーワードを差し出す事により、記憶を呼び覚まし始める。 


何度も試行錯誤して、一つの記憶と一つの記憶をくっ付けては切り離し、また違うパーツをくっ付ける。 


そうして一つの記憶を作り上げ、「思い出す」と言う現象に陥らせる。 





だから記憶は厄介なんだ。 




全てを思い出させてしまうこの脳。 











「悪ぃけど……、お前は俺には不必要なんだ…」 







あとべ 


アトベ 


跡部 









「………っ……あとべ…っ……俺は…………っ!」 








この狂おしい想いを俺は 




おれは 










終







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